外国人社員が10名を超えたら?|企業担当者のための申請等取次制度|永住許可編 番外編 Vol.1

外国人雇用コラム|Season1 永住許可編 番外編 Vol.1

外国人従業員が10名を超えると、在留期間更新や資格変更などの手続きが毎年のように発生します。
そのたびに行政書士へ依頼していませんか。

実は、一定の要件を満たせば、企業の人事担当者自身が「申請等取次者」として承認を受け、自社の外国人従業員の入管手続きを取り次ぐことができる制度があります。

(この制度は、まだ十分に知られていません。)

外国人社員の在留手続を、毎回すべて外部へ依頼していませんか?

外国人社員が10名程度になると、在留期間更新、在留資格変更、家族に関する手続、永住許可申請などが毎年のように発生する企業もあります。

在留手続は「行政書士や弁護士に依頼しなければできない」と思われがちですが、一定の要件を満たした企業担当者は、地方出入国在留管理局長の承認を受けることにより「申請等取次者」として、自社が受け入れている外国人社員の申請を取り次げる場合があります。

本記事では、企業の人事・外国人雇用担当者に向けて、申請等取次制度の仕組み、対象となる手続、自社対応と専門家へ依頼する場合の考え方を分かりやすく解説します。

最初に確認しておきたいこと
「外国人社員10名」は、申請等取次者になるための法律上の人数基準ではありません。

企業が自社対応を検討する一つの実務上の目安として、本記事で使用している表現です。

この記事を1分でまとめると

  • 在留手続は、外国人本人が申請することが原則です。
  • 一定の承認を受けた企業職員は、自社が受け入れている外国人の申請を取り次げる場合があります。
  • 在留期間更新や在留資格変更だけでなく、永住許可申請も取次範囲に含まれます。
  • 誰の申請でも取り次げる制度ではなく、原則として自社が受け入れている外国人が対象です。
  • 申請等取次者になっても、永住許可の要件判断や許可を保証できるわけではありません。
  • 定型的な案件は自社対応、複雑な案件は行政書士・弁護士へ依頼するという役割分担も考えられます。

📖 記事情報

📅 公開日2026年7月25日
🔄 最終更新日2026年7月25日
📖 読了時間1分(要点)/約3分(概要)/約6分(全文)
📚 難易度★★★☆☆(基礎・重要)
📘 シリーズSeason1 永住許可編 番外編 Vol.1
👤 執筆・監修加藤 洋司
(一社)東京都外国人就労認定機構 代表理事
🎨 制作サポート管 沙織
(一社)東京都外国人就労認定機構 相談役
🎨 制作サポート石川 里嘉
(一社)東京都外国人就労認定機構 理事
📝 編集トガイロウ編集部
📄 ライセンス© 2026 (一社)東京都外国人就労認定機構
無断転載・複製を禁じます。


1.申請等取次制度とは

在留資格変更、在留期間更新、永住許可などの在留手続は、外国人本人が地方出入国在留管理官署へ出頭して申請することが原則です。

しかし、外国人本人が申請のたびに仕事を休み、入管の窓口へ出向くことは、本人にとっても企業にとっても負担になります。

そこで設けられているのが、一定の要件を満たす人が、外国人本人から依頼を受けて申請を取り次ぐ「申請等取次制度」です。

申請等取次者へ依頼した場合
原則として、申請時における外国人本人の入管への出頭が免除され、承認を受けた取次者が申請書類を提出できます。

ただし、申請等取次制度を利用した場合でも、審査の過程で必要があると判断されれば、外国人本人が入管へ出頭するよう求められる可能性があります。

2.企業担当者も申請等取次者になれる

申請等取次者になれるのは、行政書士や弁護士だけではありません。

外国人を雇用・受け入れている企業の職員も、所定の手続を行い、地方出入国在留管理局長から承認を受けることで、「受入れ機関等の職員」として申請等取次者になることができます。

例えば、外国人社員を10名程度雇用している企業で、人事担当者が1名または2名いる場合、その担当者が申請等取次者として承認を受けることを検討できます。

想定される企業

製造業、建設業、介護、宿泊、外食、運送、IT企業など

想定される担当者

人事、総務、外国人雇用管理、国際業務などの担当者

主な目的

本人の負担軽減、期限管理、手続の標準化、適正な在留管理

3.外国人社員10名が一つの検討目安になる理由

申請等取次者を置くべき外国人社員数について、法令上の基準は設けられていません。

外国人社員が1名でも申請等取次者の制度を検討することはできます。一方、外国人社員が10名程度になると、在留期限や個別事情が異なるため、在留手続が継続的に発生する可能性が高くなります。

外国人社員10名の企業で想定される手続
  • 在留期間更新許可申請
  • 職務変更や転職等に伴う在留資格の確認
  • 在留資格変更許可申請
  • 家族の呼寄せに関連する手続
  • 就労資格証明書交付申請
  • 永住許可申請
  • 在留カードに関する一部の申請・届出

申請が年に数件発生する企業では、担当者が制度を理解し、期限と必要書類を社内で管理することにより、外国人社員の手続漏れを防止しやすくなります。

したがって、「外国人社員が10名を超えたら」という表現は、資格要件ではなく、自社の在留管理体制を見直すきっかけとして捉えるのが適切です。

4.企業担当者が取り次げる申請

申請等取次者として承認を受けた受入れ機関等の職員は、制度上定められた範囲で、外国人本人から依頼を受けて申請等を取り次ぐことができます。

主な手続主な場面
在留期間更新許可申請現在の在留資格のまま在留期間を更新する場合
在留資格変更許可申請活動内容や身分関係の変化により在留資格を変更する場合
永住許可申請現在の在留資格から永住者への変更を希望する場合
資格外活動許可申請現在の在留資格で認められた活動以外の活動を行う場合
再入国許可申請出国後、現在の在留資格を維持して再入国する場合
就労資格証明書交付申請行おうとする就労活動が認められるか確認する場合
在留カードに関する一定の申請紛失、汚損、有効期間更新など
在留カードの受領許可後の在留カードを所定の方法で受領する場合

※対象となる手続、提出先、受領方法には個別の条件があります。実際の申請時には、出入国在留管理庁の最新案内をご確認ください。

5.永住許可申請も取り次げるのか

申請等取次者として承認を受けた企業担当者は、対象となる自社の外国人社員から依頼を受けて、永住許可申請を取り次げる場合があります。

企業担当者が行う「取次」のイメージ

外国人社員本人が申請主体となり、本人から依頼を受けた申請等取次者が、申請書類を入管へ提出します。

ただし、会社が外国人社員に代わって「永住許可を申請する権利」を持つわけではありません。
永住許可申請の申請人は、あくまで外国人本人です。

また、企業担当者が申請を取り次いだからといって、永住許可が認められるとは限りません。

永住許可は、素行、独立生計、国益適合要件、在留状況、納税・社会保険料の履行状況などを踏まえて審査されます。

永住許可申請は特に慎重な確認が必要です。
在留歴、転職歴、扶養関係、税金・年金・健康保険料の納付状況、過去の違反歴などに複雑な事情がある場合は、行政書士または弁護士への相談を検討する必要があります。

6.誰の申請を取り次げるのか

企業の職員が申請等取次者として承認を受けても、一般の外国人から依頼を受けて、誰の申請でも取り次げる訳わけではありません。

対象になり得る例

  • 自社が雇用している外国人社員
  • 自社が受け入れている外国人
  • 自社が受け入れようとしている外国人

原則として対象外となる例

  • 取引先企業の外国人社員
  • 知人や友人である外国人
  • 一般顧客として依頼してきた外国人
  • 自社と受入れ関係のない外国人

したがって、一般企業が「永住申請代行サービス」などの名称で、不特定の外国人を顧客として申請取次業を行える制度ではありません。

7.申請等取次者になるための手続

企業担当者が申請等取次者になるには、必要書類を揃え、企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局等へ申請等取次の承認申出を行います。

1

社内の担当者を決める

人事、総務、外国人雇用管理などを担当する職員から選定します。

2

制度と入管手続を学ぶ

申請等取次者に必要となる知識を身に付け、必要に応じて研修会等を受講します。

3

必要書類を準備する

申請等取次申出書、経歴書、在職を証明する資料、写真、所属機関に関する資料など指定された書類を準備します。

4

管轄の入管へ承認を申し出る

企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理局または対象となる出張所へ提出します。

5

承認後、証明書の交付を受ける

承認されると申請等取次者証明書が交付され、対象となる申請の取次ぎが可能になります。

証明書の有効期間

申請等取次者証明書の有効期間は原則として3年間です。

継続して取次ぎを行う場合は、有効期限前に更新手続を行う必要があります。

申請等取次者が会社を退職した場合は、その所属機関における承認の効力が停止します。

転職先でも申請等取次者になる場合は、原則として転職先において新たな承認手続が必要です。

8.申請等取次者ができること・できないこと

「申請等取次者になれば、行政書士と同じ業務がすべてできる」と考えるのは適切ではありません。

申請等取次者制度は、外国人本人から依頼を受け、対象となる在留申請等を取り次ぐための制度です。

企業担当者には、自社の受入れ責任に基づいた正確な情報管理と適正な手続が求められます。

自社で対応しやすい業務専門家への相談を検討する業務
  • 在留期限の社内管理
  • 本人への必要情報の案内
  • 会社が発行する在職証明書等の準備
  • 本人から提供された情報の確認
  • 定型的な案件の申請取次ぎ
  • 入管からの連絡の社内共有
  • 許可要件について高度な法的判断が必要な案件
  • 過去に不許可となった案件
  • 転職や活動内容に複雑な事情がある案件
  • 税金・年金・社会保険料に未納や遅延がある案件
  • 資格外活動や在留状況に問題がある案件
  • 法的主張を整理した理由書等が重要になる案件

注意:申請等取次者であることは、行政書士資格や弁護士資格を取得したことを意味しません。

また、自社と関係のない外国人から報酬を受け、申請書類の作成や申請代行を事業として行える制度でもありません。

9.自社対応と専門家への依頼の使い分け

申請等取次者を置くかどうかは、単純に「外部費用を削減できるか」だけで判断するべきではありません。

外国人社員の人数、年間の申請件数、担当者の知識、社内の管理体制、案件の複雑さなどを総合的に検討する必要があります。

比較項目企業内で対応専門家へ依頼
社内情報の把握雇用状況を直接確認しやすい企業から正確な情報提供が必要
専門知識社内で継続的な学習が必要専門的な判断を依頼しやすい
社内負担担当者の作業時間が必要外部との情報共有・費用が必要
複雑な案件判断が難しい場合がある行政書士・弁護士への相談が適する
継続的な在留管理社内体制として蓄積しやすい外部専門家との連携体制を構築できる

現実的なのは「すべて自社」か「すべて外部」かではない

企業によっては、定型的な在留期間更新は社内の申請等取次者が担当し、永住許可申請や複雑な在留資格変更は行政書士または弁護士へ相談するという方法が適しています。

自社対応と専門家への依頼を適切に使い分けることで、外国人社員の利便性を高めながら、手続の正確性も確保しやすくなります。

10.企業に求められる管理体制

申請等取次者を置く場合、担当者個人の知識だけに依存しない社内体制が重要です。

企業が整備したい管理項目

  • 外国人社員ごとの在留資格と在留期限
  • 在留カードの確認・記録方法
  • 更新申請を開始する社内時期
  • 職務内容や勤務場所の変更履歴
  • 転職、退職、休職等があった場合の確認手順
  • 本人から取得する個人情報の管理方法
  • 申請書類のダブルチェック体制
  • 行政書士・弁護士へ相談する判断基準
  • 申請等取次者が退職・異動した場合の引継ぎ

在留申請は、申請書を提出して終わりではありません。

外国人社員の雇用状況、職務内容、在留資格、届出義務などを継続して確認することが、適正な外国人雇用管理につながります。

11.オンライン申請を利用できる場合もある

申請等取次者として承認を受けた企業職員は、別途必要となる利用申出等を行い、要件を満たすことで、在留申請オンラインシステムを利用できる場合があります。

オンライン申請を活用すれば、対象手続について、入管窓口へ出向く回数や担当者の移動負担を減らせる可能性があります。

ただし、申請等取次者の承認とオンラインシステムの利用は、同一の手続ではありません。オンライン申請を希望する場合は、出入国在留管理庁が案内する利用条件と手続を別途確認してください。

12.よくある質問

Q1.外国人社員が10名未満でも申請等取次者になれますか?
はい。外国人社員10名という人数は、法律上の承認要件ではありません。
外国人社員が少人数であっても、申請等取次者の承認を申し出ることは可能です。
Q2.申請等取次者になれば、永住許可申請を自社で提出できますか?
対象となる外国人社員本人から依頼を受け、取次範囲や提出先などの条件を満たしていれば、永住許可申請を取り次げる場合があります。
ただし、申請人は外国人本人であり、企業が永住許可を申請するわけではありません。
Q3.申請等取次者になれば、他社の外国人の申請もできますか?
原則としてできません。企業職員としての申請等取次は、自社が受け入れている、または受け入れようとしている外国人に関する手続を対象とする制度です。
Q4.人事担当者が申請書を作成してもよいのでしょうか?
自社の雇用情報を整理し、外国人社員本人と内容を確認しながら申請準備を進めることは、企業実務として行われています。
ただし、申請等取次者の承認は、行政書士または弁護士と同じ資格や業務権限を与えるものではありません。個別案件で法的判断や専門的な書類作成が必要な場合は、行政書士または弁護士へ確認してください。
Q5.申請等取次者になれば、必ず申請が許可されますか?
いいえ。申請等取次者は申請を取り次ぐ立場であり、許可を保証する制度ではありません。
許可・不許可は、申請内容と関係法令等に基づいて出入国在留管理庁が判断します。
Q6.行政書士への依頼は不要になりますか?
一律に不要になるわけではありません。
定型的な案件は社内で対応し、複雑な案件、不許可歴がある案件、永住要件の判断が難しい案件などは行政書士・弁護士へ相談するという使い分けが考えられます。

13.まとめ|外国人社員が増えたら、在留手続の社内体制も見直す

外国人社員を継続して雇用する企業では、在留期間更新や在留資格変更などの手続が、例外的な業務ではなく、毎年発生する通常業務になっていきます。

一定の要件を満たした企業担当者が申請等取次者として承認を受ければ、自社が受け入れている外国人社員の在留申請等を取り次げる場合があります。永住許可申請も、制度上の取次範囲に含まれます。

一方で、申請等取次者は単なる書類運搬者ではありません。外国人社員の在留状況や雇用内容を正確に把握し、期限、個人情報、申請内容を適切に管理する責任があります。

外国人社員が10名を超えたときは、一つの検討機会です。

自社に申請等取次者を置くべきか、検討してみませんか?

すべてを自社で行うのではなく、社内で対応する手続と専門家へ依頼する手続を整理することが、適正で持続可能な外国人雇用管理に繋がります。

外国人雇用を体系的に学びたい方へ

外国人雇用管理士®は、外国人雇用に関する法制度、在留資格、労務管理、生活支援などの知識を基礎として、企業における適正な外国人雇用管理を支える人材です。

資格取得後も、法改正や制度運用の変化を継続的に学び、企業実務や外国人支援に知識を活かすことが重要です。

免責事項
本記事は、申請等取次制度および外国人雇用管理に関する一般的な情報提供を目的とするものです。個別案件に対する法的助言、許可可能性の判断、行政書士・弁護士業務の代替を目的とするものではありません。制度、様式、必要書類および取扱いは変更される場合があります。実際の申請に当たっては、出入国在留管理庁の最新情報を確認し、必要に応じて行政書士または弁護士等の専門家へご相談ください。

次回公開予定(速報版)

外国人の永住許可が厳格化へ|
「年金30年水準」と年収要件を解説

2026年7月25日、政府は外国人の永住許可制度について、新たな審査基準を導入する方向で検討していることが報道されました。

報道では、

・日本人世帯平均以上の年収

・厚生年金30年加入相当の年金水準

・日本語能力

などを新たな判断材料とする方向が示されています。

一方で、

「30年間年金を納付していなければ永住許可を受けられない」

という制度が決定したわけではありません。

現時点では、正式なガイドラインは公表されておらず、報道内容を正しく理解することが重要です。

番外編 Vol.2(速報版)の内容

  • 政府が検討している永住許可制度の見直しとは
  • 現行制度との違い
  • 年収要件の考え方
  • 「年金30年水準」の意味
  • 預貯金はどのように考慮されるのか
  • 日本語能力の位置付け
  • 今後の制度改正スケジュール
  • よくある質問(FAQ)

正式なガイドラインの公表前であっても、トガイロウでは報道内容や公表資料を継続的に確認し、制度の動向を分かりやすくお伝えできるよう、記事を随時更新してまいります。

👉 外国人の永住許可が厳格化へ|「年金30年水準」と年収要件を解説|永住許可編 番外編 Vol.2
(番外編 Vol.2 記事公開まで、今しばらくお待ちください。)

執筆・監修

一般社団法人東京都外国人就労認定機構

執筆・監修
加藤 洋司
(代表理事・外国人雇用管理士®制度創設者)

制作サポート
管 沙織
(相談役)

石川 里嘉
(理事)

編集
トガイロウ編集部

ライセンス
© 2026 一般社団法人東京都外国人就労認定機構
無断転載・複製を禁じます。

※本記事は、公開時点の法令・公的資料を基礎とする一般的な制度解説です。個別の申請結果を保証するものではありません。

※具体的な申請については、出入国在留管理庁または永住許可申請を取り扱う行政書士・弁護士等の専門家へご確認ください。


更新履歴

更新日更新内容
Ver.1.02026年7月25日初版公開