『Season1 永住許可編』Vol.1 永住許可とは? – 制度の特徴と審査の基本的な考え方 –
外国人雇用コラム|実務・法改正・制度解説
Season1 永住許可編
〜日本で永住許可を目指すすべての方へ〜
永住許可は、日本で長期的に生活・就労する外国人にとって重要な制度です。永住許可を受けると、「永住者」の在留資格を取得することになります。
一方で、近年は永住許可制度の適正化や関連制度の見直しが進んでおり、企業・外国人本人・支援者のいずれにとっても、正しい知識がこれまで以上に求められています。
出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」も、2026年2月24日に改訂されました。
本シリーズでは、出入国在留管理庁が公表する資料や法令を基礎に、実務の視点も交えながら、永住許可制度を体系的に解説します。
本シリーズは、外国人雇用管理士®制度の理念に基づき、制度を「知る」だけでなく、企業実務や外国人支援に活かすための知識を体系的に解説する実務コラムです。
第1章 永住許可制度の基礎
Vol.1 永住許可とは?
制度の特徴と審査の基本的な考え方
編集部より
近年、日本では少子高齢化や生産年齢人口の減少を背景に、外国人材の受入れが拡大しています。企業・行政・教育機関など、さまざまな分野で外国人と共に働き、共に暮らすことが当たり前の時代となりました。
こうした中で、「在留資格制度」を正しく理解することは、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業や支援者にとっても重要な知識となっています。
本シリーズ「永住許可編」は、日本の永住許可制度について、出入国在留管理庁が公表するガイドライン、法令、公的資料などを基礎として、制度を体系的に解説する連載です。
永住許可は、日本で長期的に生活する外国人にとって重要な制度ですが、「一定期間日本に住めば必ず取得できる」「一度取得すれば何の手続も必要なくなる」といった誤解も少なくありません。
トガイロウでは、申請手続のノウハウや許可取得のテクニックではなく、「制度を正しく理解し、実務に活かすこと」を重視しています。
本シリーズでは、法令や公的資料に基づく制度の説明と、企業や支援現場における実務上の考え方を区別しながら、中立的な立場で分かりやすく解説します。
制度や運用は、法令改正や社会情勢の変化に応じて見直されることがあります。本シリーズも継続的に内容を更新し、日本の外国人雇用を支える「知識のアーカイブ」となることを目指します。
📖 記事情報
| 📅 公開日 | 2026年7月15日 |
| 🔄 最終更新日 | 2026年7月15日 |
| 📖 読了時間 | 約18分 |
| 📚 難易度 | ★★☆☆☆(基礎) |
| 📘 シリーズ | Season1 永住許可編 Vol.1/全12回 |
| 👤 執筆・監修 | 加藤 洋司(一般社団法人東京都外国人就労認定機構 代表理事) |
📌 本記事で分かること
本記事では、永住許可制度を理解するための基礎知識として、次の内容を解説します。
- 永住許可とはどのような制度なのか
- 「永住者」という在留資格には、どのような特徴があるのか
- 在留期間や就労活動に関する制限が、どのように変わるのか
- 永住者と他の在留資格には、どのような違いがあるのか
- 永住許可の審査における基本的な考え方と、企業実務への影響
📑 目次
永住許可制度への関心が高まる背景
近年、日本ではさまざまな在留資格で働く外国人が増加し、多くの企業にとって外国人材は事業活動を支える重要な存在となっています。
外国人が日本での生活や就労を続け、地域社会との関わりを深める中で、将来の生活基盤をより安定させるために「永住許可」の取得を目指すことがあります。
永住許可を受けると、在留期間が無期限となり、就労活動に関する在留資格上の制限もなくなります。そのため、外国人本人にとっては長期的な生活設計を立てやすくなり、企業にとっても継続的な人材確保やキャリア形成を支えやすくなるという側面があります。
しかし、永住許可は「一定期間日本に住めば自動的に取得できる制度」ではありません。
出入国管理及び難民認定法に基づき、法務大臣が申請者ごとの事情を審査し、許可の可否を判断する制度です。
審査では、在留年数だけでなく、素行、生計の安定性、税金・年金・健康保険料などの公的義務の履行状況、現在の在留状況など、複数の要素が確認されます。
そのため、永住許可制度を正しく理解するためには、「在留期間が無期限になる制度」という表面的な理解だけでは十分とはいえません。
制度の趣旨や審査の基本的な考え方まで理解することが、企業実務や外国人支援においても重要となります。
📖 制度上のポイント
永住許可は、出入国管理及び難民認定法に基づき、法務大臣が一定の要件を満たす外国人に対して「永住者」の在留資格を許可する制度です。
許可の可否は、法律に定められた要件を基礎とし、出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」に示された考え方などを踏まえて、個々の事情に応じて判断されます。
✅ 実務上のポイント
企業では、「永住者は就労制限がない」という点だけが注目されがちです。しかし、制度の背景や審査の基本的な考え方まで理解することで、採用、配置転換、人材育成などをより適切に行うことができます。
外国人本人への説明や支援を行う際にも、永住許可が自動的に認められる制度ではないことを正しく伝える必要があります。
🔍 用語解説
永住許可
外国人が法務大臣の許可を受けて、「永住者」の在留資格を取得するための制度です。
永住許可申請には、すでに日本で別の在留資格を持つ外国人が「永住者」への変更を求める場合と、日本で出生するなどして上陸手続を経ずに在留することとなった外国人が「永住者」の在留資格の取得を求める場合があります。
永住者
出入国管理及び難民認定法に定められた在留資格の一つです。
法務大臣から永住の許可を受けた外国人が該当し、在留期間は「無期限」とされています。また、在留資格による活動内容の制限を受けないことが大きな特徴です。
在留資格
外国人が日本に適法に在留し、一定の活動を行い、または一定の身分・地位に基づいて生活するための法的な資格です。
在留資格ごとに、日本で行うことができる活動や在留期間などが定められています。
在留期間
外国人が日本に在留することを認められた期間です。
多くの在留資格では、在留期間が満了する前に在留期間更新許可申請を行う必要があります。一方、永住者の在留期間は無期限であるため、在留期間更新許可申請は必要ありません。
在留カード
日本に中長期間在留する外国人に交付されるカードです。在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。
永住者には在留期間の更新はありませんが、在留カードには有効期間があるため、所定の時期に在留カードの有効期間更新申請が必要です。
法務大臣
永住許可をはじめ、在留資格に関する重要な許可や処分を行う権限を有します。
実際の申請受付や審査は地方出入国在留管理局などで行われますが、永住許可は法務大臣の権限に基づいて判断されます。
⚠ 「永住許可」と「永住者」は同じ意味ではありません
「永住許可」は、法務大臣が行う許可を意味します。
「永住者」は、永住許可を受けた後に取得する在留資格を意味します。
一般には「永住権」という言葉も使われますが、日本の法令や出入国在留管理庁の公的資料では、主に「永住許可」「永住者」という用語が使用されています。
永住許可とは
永住許可とは、一定の要件を満たす外国人に対し、法務大臣が「永住者」の在留資格を認める制度です。
出入国在留管理庁は、永住許可を受けた外国人について、「永住者」の在留資格により日本に在留することになると説明しています。
日本の在留資格制度では、多くの在留資格について、日本で行うことができる活動と在留期間が定められています。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」で在留する外国人は、その在留資格に該当する専門的な業務に従事することが前提です。「経営・管理」で在留する外国人は、事業の経営または管理に関する活動を行うことが前提となります。
これに対して、永住者は、在留資格によって活動内容が限定されません。
また、在留期間が無期限であるため、他の多くの在留資格のように、定期的な在留期間更新許可申請を行う必要もありません。
このように、永住者は、在留活動と在留期間のいずれについても制限を受けないという点で、他の在留資格と比べて在留管理上の取扱いが大きく緩和されています。
その一方で、永住許可は通常の在留資格変更よりも慎重に審査されます。
活動内容や在留期間に関する制限が大幅に緩和されるため、一般的な在留資格変更許可とは別に、永住許可に関する独立した規定が設けられています。

📖 制度上のポイント
永住許可は、法務大臣が一定の要件を満たす外国人に対して、「永住者」の在留資格を認める制度です。
許可は申請すれば当然に認められるものではなく、出入国管理及び難民認定法に定められた要件を基礎として、個々の事情を審査したうえで判断されます。
✅ 実務上のポイント
企業の社内文書、契約書、研修資料などでは、できる限り法令上の正式名称である「永住許可」「永住者」を使用することが望ましいでしょう。
「永住権」という言葉を使用する場合も、在留資格としての正式名称が「永住者」であることを理解しておく必要があります。
永住者とはどのような在留資格か
永住者は、出入国管理及び難民認定法の別表第二に定められた、身分または地位に基づく在留資格の一つです。
出入国在留管理庁の在留資格一覧では、永住者について「法務大臣が永住を認める者」とされ、在留期間は「無期限」とされています。
永住者の大きな特徴は、特定の職種、業務内容、所属機関などを前提とした活動資格ではないという点です。
「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「特定技能」などの在留資格では、その資格ごとに認められる活動の範囲があります。
外国人が従事する業務内容を変更する場合には、新たな業務が現在の在留資格に該当するかを確認しなければならないことがあります。場合によっては、在留資格変更許可申請などの手続が必要です。
これに対して、永住者には、在留資格上の就労活動の制限がありません。
そのため、転職、配置転換、職種変更、起業などを行う際に、活動内容が「永住者」という在留資格に適合しているかを確認する必要はありません。
ただし、永住者であれば、どのような職業にも無条件で就くことができるという意味ではありません。
医師、弁護士、司法書士など、法律により資格や免許が必要とされる職業については、日本人と同様に、その職業に必要な資格や登録が求められます。
また、労働基準法、労働契約法、最低賃金法、税法、社会保険関係法令など、日本国内で適用される法令を遵守しなければならないことも、他の外国人や日本人と同様です。
「特別永住者」とは異なる制度
「永住者」と「特別永住者」は、名称が似ていますが、法的な根拠や制度の成り立ちが異なります。
永住者は、出入国管理及び難民認定法に基づき、法務大臣から永住許可を受けた外国人です。
一方、特別永住者は、日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した人とその子孫などについて、特別法に基づいて認められる法的地位です。
本シリーズで解説する「永住許可」は、原則として出入国管理及び難民認定法に基づく「永住者」の在留資格を対象としています。
⚠ 注意
永住者と特別永住者は、同じ制度ではありません。
在留カード、証明書、再入国手続などの取扱いにも違いがあるため、企業が本人確認を行う場合は、「永住者」なのか「特別永住者」なのかを正確に確認する必要があります。
永住許可制度の主な特徴
永住許可を受けることで、在留資格上の取扱いは大きく変わります。
ここでは、永住者の主な特徴を整理します。
1.在留期間が無期限になる
永住者の在留期間は「無期限」です。
「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「日本人の配偶者等」「定住者」など、多くの在留資格には、5年、3年、1年、6月などの在留期間が定められています。
これらの在留資格で日本に在留し続けるためには、在留期間の満了前に在留期間更新許可申請を行い、法務大臣の許可を受けなければなりません。
永住者には在留期間の満了がないため、在留期間更新許可申請は必要ありません。
ただし、後述するように、在留カードそのものには有効期間があるため、在留カードの有効期間更新申請は必要です。
2.就労活動に関する在留資格上の制限がなくなる
永住者は、在留資格によって就労活動の内容を制限されません。
職種を変更した場合、別の業界へ転職した場合、会社を設立した場合などでも、活動内容に応じて就労資格を変更する必要はありません。
企業にとっても、職務内容の変更、配置転換、昇進、管理職への登用などを検討する際に、就労資格の活動範囲との適合性を確認する負担が軽減されます。
3.転職や離職だけを理由に在留資格を失うものではない
活動に基づく在留資格では、所属機関を退職した後の活動状況や、在留資格に対応する活動を行っているかどうかが、在留上の取扱いに関係することがあります。
永住者は、特定の会社や職業を前提とする在留資格ではありません。
そのため、転職や離職をしたことだけを理由として、直ちに永住者の在留資格を失うものではありません。
もっとも、永住者であっても、住所変更など法令上必要な届出を行うことや、日本の法令を遵守することは必要です。
4.在留カードの更新は必要
永住者には在留期間の更新はありませんが、在留カードには有効期間があります。
したがって、在留カードの有効期間が満了する前に、在留カードの有効期間更新申請を行う必要があります。
「在留期間の更新」と「在留カードの更新」は、異なる手続です。
永住者について「更新が不要」と説明する場合は、在留期間更新許可申請が不要であることを意味しており、在留カードに関する手続まで不要になるわけではありません。
5.国籍は変わらない
永住許可を受けても、外国人本人の国籍が日本国籍に変わるわけではありません。
永住許可は、外国人として日本に在留するための在留資格に関する制度です。
日本国籍の取得を希望する場合には、永住許可とは別に、国籍法に基づく帰化許可申請を検討することになります。
永住許可と帰化の違いについては、本シリーズのVol.9で詳しく解説します。

📖 制度上のポイント
永住者は、在留活動と在留期間のいずれについても、在留資格上の制限を受けません。
ただし、在留カードの有効期間更新、住居地に関する届出、再入国に関する手続など、永住者となった後も必要な手続があります。
✅ 実務上のポイント
企業担当者は、「永住者には在留期間の更新がない」という説明と、「在留カードの更新も不要である」という説明を混同しないよう注意する必要があります。
雇用時や在留カードの確認時には、在留資格だけでなく、在留カードの有効期間も確認しましょう。
他の在留資格との違い
永住者の特徴を理解するためには、他の在留資格と比較することが有効です。
日本の在留資格には、主に、外国人が日本で行う活動に基づいて認められる在留資格と、外国人の身分または地位に基づいて認められる在留資格があります。
活動に基づく在留資格
「技術・人文知識・国際業務」「経営・管理」「特定技能」「技能」「留学」などは、外国人が日本で行う活動を基礎とする在留資格です。
それぞれの在留資格について、認められる活動の内容や在留期間が定められています。
就労可能な在留資格であっても、あらゆる仕事に自由に従事できるわけではありません。
身分または地位に基づく在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、外国人の身分または地位に基づく在留資格です。
これらの在留資格については、在留資格上の就労活動の制限はありません。
ただし、永住者以外の「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」には在留期間が定められているため、在留期間更新許可申請が必要です。
主な在留資格との比較
| 比較項目 | 永住者 | 技術・人文知識・国際業務 | 経営・管理 | 日本人の配偶者等・定住者など |
|---|---|---|---|---|
| 在留期間 | 無期限 | 期間あり | 期間あり | 期間あり |
| 在留期間更新 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 就労活動の制限 | 在留資格上の制限なし | 専門的業務の範囲に制限 | 経営・管理活動の範囲に制限 | 在留資格上の制限なし |
| 転職・職種変更 | 在留資格上の職種制限なし | 新しい業務との適合性確認が必要 | 活動内容との適合性確認が必要 | 在留資格上の職種制限なし |
| 在留カード | 有効期間更新が必要 | 在留期間等に応じて交付・更新 | 在留期間等に応じて交付・更新 | 在留期間等に応じて交付・更新 |
永住者と、その他の身分・地位に基づく在留資格との主な違いは、在留期間です。
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は、就労活動に関する在留資格上の制限を受けませんが、在留期間は無期限ではありません。
そのため、これらの在留資格では、引き続き在留期間更新許可申請が必要です。

📖 制度上のポイント
永住者は、在留期間が無期限であり、在留資格上の就労活動の制限もありません。
一方、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」は就労活動の制限を受けませんが、在留期間が定められています。
✅ 実務上のポイント
企業が外国人を採用する際は、「就労制限があるか」という点だけでなく、「在留期間の更新が必要か」「在留カードの有効期間はいつまでか」も確認する必要があります。
在留資格ごとの違いを正確に把握することが、適切な外国人雇用管理の基礎となります。
永住許可は自動的に認められるものではない
永住許可は、一定の在留年数を満たしただけで自動的に認められるものではありません。
永住許可については、出入国管理及び難民認定法第22条に独立した規定が設けられています。
出入国在留管理庁は、永住者について、在留活動と在留期間のいずれについても制限されず、他の在留資格と比べて在留管理が大幅に緩和されると説明しています。
そのため、永住許可は通常の在留資格変更よりも慎重に審査する必要があるとされています。
永住許可は申請者の事情に応じて審査される
永住許可申請では、申請者が法律上の要件を満たしているかどうかに加えて、現在までの在留状況や公的義務の履行状況などが確認されます。
同じ在留年数、同じ年収、同じ在留資格であっても、家族構成、扶養状況、納税状況、年金や健康保険料の納付状況、法令違反の有無などは、申請者ごとに異なります。
したがって、他人が許可された事例と外形的な条件が似ているという理由だけで、自分も必ず許可されると判断することはできません。
ガイドラインは審査の考え方を示す重要な資料
出入国在留管理庁は、「永住許可に関するガイドライン」を公表しています。
このガイドラインには、法律上の要件として、主に次の3つが示されています。
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
これらは、一般に「素行善良要件」「独立生計要件」「国益適合要件」と呼ばれています。
ただし、日本人、永住者または特別永住者の配偶者や子など、申請者の身分や状況によって、一部の要件の適用が異なる場合があります。
3つの基本要件の具体的な内容については、次回のVol.2で詳しく解説します。
⚠ 注意
「10年以上日本に住んでいる」「一定の収入がある」といった一つの条件だけで、永住許可の可否が決まるわけではありません。
個別の申請では、法律上の要件、ガイドラインに示された事項、申請者の在留状況などが総合的に確認されます。
永住許可の審査における基本的な考え方
永住許可の審査では、一つの項目だけではなく、複数の事情が確認されます。
ただし、「総合的に判断される」という表現は、審査基準が存在しないという意味ではありません。
法律上の要件があり、出入国在留管理庁のガイドラインによって具体的な考え方が示されています。そのうえで、申請者ごとの事情や提出資料を確認し、許可の可否が判断されます。
在留年数
一般的な永住許可申請では、原則として一定期間以上、日本に継続して在留していることが求められます。
ただし、日本人や永住者等の配偶者・子、定住者、高度人材などについては、原則的な在留年数が緩和される特例があります。
在留年数の原則と特例は、Vol.3で詳しく解説します。
素行
日本の法律を遵守し、社会生活において住民として適切に生活しているかという観点です。
犯罪歴の有無だけではなく、法令違反や交通違反などが審査に関係する場合があります。
生計の安定性
申請者本人または世帯として、将来にわたり安定した生活を続けることができるかという観点です。
単に一時点の収入額だけを見るのではなく、就労状況、世帯収入、扶養人数、資産、生活状況なども関係します。
公的義務の履行
税金、年金、健康保険料などの公的義務を適正に履行しているかという観点です。
単に申請時点で未納がないことだけではなく、法令上の納付期限を守って履行しているかどうかも重要です。
公的義務については、Vol.5で詳しく解説します。
届出義務の履行
住居地の変更、所属機関に関する変更など、出入国管理及び難民認定法上の届出が必要な場合があります。
申請者が自分の在留資格に応じて必要な届出を適切に行っているかも、在留状況を確認するうえで重要です。
現在の在留状況
現在保有している在留資格、在留期間、活動内容などが適切であるかも確認されます。
永住許可申請中であっても、現在の在留期間が自動的に延長されるわけではありません。審査中に現在の在留期間が満了する場合は、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。

📖 制度上のポイント
永住許可の審査は、法律上の要件とガイドラインに示された考え方を基礎として、申請者ごとの事情を確認して行われます。
在留年数だけで許可が決まるものではなく、素行、生計、公的義務の履行状況、現在の在留状況などが関係します。
✅ 実務上のポイント
永住許可について外国人本人から相談を受けた場合、企業担当者や支援者は、在留年数や年収だけで安易に許可の可能性を断定しないことが重要です。
個別の許可判断は法務大臣が行うものであり、申請者ごとに確認すべき事情が異なります。
企業にとって永住許可制度を理解する意味
永住許可は、外国人本人の在留に関する制度ですが、外国人を雇用する企業の人事・労務管理とも深く関係します。
採用可能な業務の範囲が広がる
活動に基づく就労資格を持つ外国人を採用する場合、企業は、その外国人が担当する業務が在留資格で認められた活動に該当するかを確認しなければなりません。
永住者には在留資格上の就労制限がないため、在留資格との関係では、幅広い業務への採用や配置が可能です。
ただし、労働関係法令、職業資格に関する法令、外国人雇用状況の届出など、企業として必要な法令対応がなくなるわけではありません。
配置転換やキャリア形成を検討しやすくなる
企業内で外国人社員の職務を変更する場合、現在の在留資格によっては、新しい業務が在留資格の活動範囲に含まれるかを確認する必要があります。
永住者については、在留資格上の職務制限がないため、部門異動、職種変更、管理職への登用など、中長期的なキャリア形成を検討しやすくなります。
在留期間更新に伴う雇用上の不確実性が小さくなる
期間の定めがある在留資格では、本人が在留期間更新許可を受けられるかどうかが、その後の雇用継続に関係することがあります。
永住者には在留期間の満了がないため、在留期間更新の結果によって就労継続が左右されるという不確実性は小さくなります。
ただし、在留カードの有効期間確認や、本人確認に必要な手続は引き続き重要です。
永住許可申請中も現在の在留資格による管理が必要
外国人社員が永住許可を申請しても、許可されるまでは現在の在留資格で日本に在留しています。
したがって、永住許可申請中であっても、現在の在留資格に基づく就労制限や届出義務は引き続き適用されます。
申請中に現在の在留期間が満了する場合は、在留期間更新許可申請も必要です。
企業担当者は、「永住許可を申請したから、現在の在留資格の管理は不要になった」と誤解しないよう注意しなければなりません。

✅ 企業担当者が押さえるべきポイント
- 永住者には、在留資格上の就労制限がない
- 在留期間更新許可申請は不要である
- 在留カードの有効期間更新は必要である
- 永住許可申請中は、現在の在留資格による管理を続ける
- 永住者であっても、労働関係法令や職業資格に関する法令は適用される
永住許可を受けた後も必要な手続がある
永住者になると、在留期間は無期限となり、就労活動に関する在留資格上の制限もなくなります。
しかし、永住者となった後に、あらゆる手続や義務がなくなるわけではありません。
例えば、次のような手続や義務は、永住許可後も関係します。
- 在留カードの有効期間更新
- 住居地を変更した場合の届出
- 在留カードを紛失した場合などの再交付申請
- 日本から出国し、再び入国するための再入国に関する手続
- 税金、年金、健康保険料などの公的義務
- 日本国内の法令を遵守する義務
また、永住者であっても、一定の法定事由に該当した場合には、在留資格の取消しや退去強制などの対象となる可能性があります。
永住許可後に必要な手続や義務、永住許可制度の適正化と取消制度については、Vol.11およびVol.12で詳しく解説します。
⚠ 注意
「永住者になれば、その後は入管に関する手続が一切不要になる」という理解は正確ではありません。
在留期間更新許可申請は不要になりますが、在留カード、住居地、再入国などに関する手続は引き続き必要です。
よくある質問(FAQ)
Q1.「永住許可」と「永住者」は同じ意味ですか?
A.厳密には異なります。
永住許可は、法務大臣が行う許可を意味します。永住者は、その許可を受けた外国人が取得する在留資格を意味します。
Q2.10年以上日本に住めば、必ず永住許可を受けられますか?
A.必ず許可されるわけではありません。
原則的な在留年数を満たしている場合でも、素行、生計、公的義務の履行状況、現在の在留状況などが審査されます。
また、日本人・永住者等の配偶者や子、定住者、高度人材などについては、原則的な在留年数が緩和される特例があります。
Q3.永住者は、どのような仕事にも就くことができますか?
A.在留資格上の就労活動の制限はありません。
ただし、医師や弁護士など資格・免許が必要な職業については、日本人と同様に、関係法令に基づく資格や登録が必要です。
Q4.永住者になれば、在留カードの更新も不要ですか?
A.いいえ。在留カードの有効期間更新は必要です。
永住者には在留期間の更新はありませんが、在留カードには有効期間があります。「在留期間の更新」と「在留カードの更新」を区別して理解することが重要です。
Q5.永住許可を申請すれば、現在の在留期間を更新しなくてもよいですか?
A.いいえ。
永住許可申請中であっても、現在の在留期間が満了する場合には、別途、在留期間更新許可申請を行う必要があります。
Q6.永住許可を受けると、日本国籍になりますか?
A.日本国籍にはなりません。
永住許可は、外国人として日本に在留するための在留資格に関する制度です。日本国籍を取得する帰化とは異なります。
Q7.永住者になれば、永住者の在留資格を失うことはありませんか?
A.永住者であっても、在留資格を失う場合があります。
再入国に必要な手続を行わずに出国した場合や、一定の在留資格取消事由、退去強制事由などに該当した場合には、永住者としての在留を継続できなくなる可能性があります。
具体的な手続と注意点については、本シリーズのVol.12で解説します。
まとめ
永住許可とは、一定の要件を満たす外国人に対し、法務大臣が「永住者」の在留資格を認める制度です。
永住者になると、在留期間は無期限となり、就労活動に関する在留資格上の制限もなくなります。転職、職種変更、配置転換、起業などについて、活動内容が在留資格に適合しているかという観点での制約を受けないことは、外国人本人だけでなく、雇用する企業にとっても重要な特徴です。
一方、永住許可は、一定期間日本に住めば自動的に認められる制度ではありません。
在留活動と在留期間に関する制限が大きく緩和されることから、通常の在留資格変更とは別の規定に基づき、慎重な審査が行われます。
また、永住許可後も、在留カードの有効期間更新、住居地の届出、再入国に関する手続、公的義務の履行などが必要です。
永住許可制度を正しく理解するためには、制度上のメリットだけでなく、許可の法的な位置付け、審査の考え方、許可後の手続や義務まで含めて理解することが重要です。
📖 Vol.1の制度上のポイント
- 永住許可を受けると、「永住者」の在留資格を取得する
- 永住者の在留期間は無期限である
- 永住者には、在留資格上の就労活動の制限がない
- 永住許可は、申請すれば自動的に認められる制度ではない
- 永住許可後も、在留カードや届出などの手続は必要である
✅ Vol.1の実務上のポイント
- 企業は「在留期間」と「在留カードの有効期間」を区別して確認する
- 永住者には幅広い職務への配置が可能だが、一般法令や職業資格に関する規制は適用される
- 永住許可申請中は、現在の在留資格による雇用管理を継続する
- 永住許可の可能性を、在留年数や年収だけで断定しない
- 外国人本人に対し、許可後も必要な手続があることを正しく説明する
次回予告
Vol.2 永住許可の3つの基本要件
― 素行・独立生計・国益適合 ―
本記事では、永住許可の意味、永住者の在留資格としての特徴、他の在留資格との違い、審査の基本的な考え方について解説しました。
次回は、永住許可制度の中核となる「素行善良要件」「独立生計要件」「国益適合要件」の3つの基本要件について、公表されている法令や「永住許可に関するガイドライン」を基に体系的に解説します。
永住許可の審査を理解するうえで重要な内容となりますので、ぜひ続けてご覧ください。
◀ 前の記事
外国人雇用コラム|実務・法改正・制度解説
(本シリーズの案内ページです。)
▶ 次の記事
Vol.2 永住許可の3つの基本要件
― 素行・独立生計・国益適合 ―
執筆・監修
一般社団法人東京都外国人就労認定機構
執筆
加藤 洋司
(代表理事・外国人雇用管理士®制度創設者)
編集
トガイロウ編集部
参考法令・公的資料
本記事は、主に次の法令・公的資料を参考に執筆しています。
- 出入国管理及び難民認定法
- 出入国管理及び難民認定法施行規則
- 出入国在留管理庁「永住許可(入管法第22条)」
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」
- 出入国在留管理庁「在留資格一覧表」
- 出入国在留管理庁「在留カードの有効期間の更新申請」
- 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」
※本記事は、公開時点の法令および公的資料に基づく一般的な制度解説です。個別の永住許可の可否を判断したり、許可を保証したりするものではありません。実際の申請に当たっては、最新の公的資料をご確認ください。
更新履歴
| 版 | 更新日 | 更新内容 |
|---|---|---|
| Ver.1.0 | 2026年7月15日 | 初版公開 |